穏やかな日の光が差し込む昼下がり、ヴァイオリンの松田悠さんとピアノの梅村知世さんによるクララ・シューマン「3つのロマンスop.22」の素朴でありながら気品のある美しい響きがTOKIAの会場を包みこみました。
おふたりはシューマン夫妻にゆかりのあるドイツのデュッセルドルフ在住であり、今回が初共演とのこと。次に演奏されたのは、この地からほど近いボン生まれのベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第5番」。「スプリングソナタ」の愛称で親しまれるこの曲は今の季節にピッタリで、ベートーヴェンらしいエネルギッシュさの中に楽しい春、穏やかな春、春の嵐などさまざまな情景を感じました。
鳴り止まない拍手に応えてアンコールを一曲。とても高貴な雰囲気でクライスラー「シンコペーション」を演奏されました。ドイツ・ウィーンにどこか大人な旅をしたような気分になれるひとときでした。
♪松田悠さん:今日は本当にたくさんの方にお越しいただきとても楽しく演奏することが出来ました。ありがとうございます。今年のラ・フォル・ジュルネのテーマが音楽にまつわる都市への旅ということだったと思いますが、私もピアニストの方もドイツのデュッセルドルフから来まして、ドイツとウィーンにゆかりのある作曲家の曲を演奏させていただきました。みなさんにとって素敵な旅をお届けできていたら良いなと思います。
♪梅村知世さん:初めて松田さんと演奏させていただいて、ドイツで何回かリハーサルを重ねていくうちに、2人の中で良い音楽が生まれてきて、今日も響のある空間で演奏することができて本当にこころから楽しかったです。今日のプログラムがすごく春らしく、「3つのロマンス」には美しい瞬間が、「スプリングソナタ」にはすごくエネルギーのある瞬間があって、これをラ・フォル・ジュルネでできたことをすごく嬉しく思います。ありがとうございました。
(レポート◎工藤桃花)
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