ショパンをたどるメモワールの2公演めは、新丸ビルのアトリウムにて、三林飛鳥さん、飯田円さん、安井友理さんの登場です。
三林さんのノクターンは内省的な左手がまろやかで、激しく立体的な中間部との対比に惹きつけられ、『遺作』と呼ばれる幻想即興曲は、炎が螺旋を描くように緻密かつ大胆。熱気とともにアトリウムの吹き抜けを壮麗に駆け上がりました。終演後は「すごく緊張しましたが、貴重な機会をいただけてとても嬉しいです」とお話してくださいました。
飯田さんのマズルカは、無邪気な可憐さを物憂げなヴェールに隠すようで多面的な魅力を感じ、通称『猫のワルツ』で知られるワルツは明るく優雅。踊りに興じる貴婦人たちが浮かびました。終演後(通称の)猫は強くは意識せずワルツを重視しています、とお話くださり、ピアニストのイメージしたものが音楽になるのだなと改めて感じました。
最後は安井さんの『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 』。微かに震える指が鍵盤に触れたとたん音楽が自然に流れだし、途切れることなく一筆書きのように堂々と弾き切りました。終演後は「反省の残る演奏でしたが、たくさんの方に聴いていただけて幸せです」とストイックな一面も。
観客から惜しみない大きな拍手が何度も送られ、5月の若葉のような彼らの眩しい未来を祝福しているようでした。
(レポート◎寿すばる)
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